ホームシックは癒せるか 前編 〜妻が畑をはじめた日〜

こんにちはえふでです。
今日もこのブログを訪ねて頂きありがとうございます。

今回のテーマは「ホームシック」です。

長年の夢を叶え、定住前提で移住した私たち夫婦ですが、
移住直後から思いもよらず妻がホームシックになりました。
(ホームシックになった理由をまとめた記事はこちら

これまでのブログでも度々触れて来ましたが、
自営業のデザイナーとして、
移住後仕事が得られない生活の不安と
田舎での暮らしに馴染めない不安が相まって、
妻は度々「東京へ帰りたい。」ともらすようになりました。

あんなに長年望んで叶えた夢です。
なけなしの貯蓄をはたいて空き家を改修し、
内装の一部は大変な苦労をして自分たちの手できれいに仕上げた家です。
憧れだった広い庭も、アトリエも手に入れました。
大好きな自然に囲まれて、
そんな素敵なマイホームで暮らせる様になったというのに、
東京へ帰りたいって!!???

はじめて言われた時はもうショックで...

東京へ帰りたいと口にする妻自身も、
こんなはずじゃなかったという戸惑いと、
そうはいってもここで暮らしていかなくてはいけないという葛藤、
自分自身で整理がつなない様々な思いと精一杯闘っていました。

移住後1年間は、生活が上向く兆しはなかなか得られず、
折に触れてこんな会話になって、
その度に私も妻も気持ちがひどく落ち込みました。

それでも私は楽天的でのんきな性格が幸いして
自然に囲まれた理想的な環境を手に入れ、
窓の外を眺めるだけで、庭に出て風に当たるだけで、幸せな気分になれます。
自治会の行事も、地元の方との付き合いもさほど苦になりません。

なかなか気持ちがついていかない妻からすると、
どんどん田舎に馴染んでいく私の姿は、
かえってプレッシャーになっていました。

移住前から妻の夢だった犬との暮らしも、
こんな生活では無理だと諦めかけていましたが、
ブリーダーとの出会いも後押しして、思い切って飼うことにしました。
犬がいることで田舎暮らしが楽しくなったら...そんな期待もありました。
もちろん、バティー(犬の名です)は、毎日を心豊かにしてくれましたが、
それでも妻のホームシックが癒えることはありませんでした。

そんな妻にも、
移住後ちょうど1年を過ぎて、
少しづつですが変化が見られました。

もちろん、仕事が頂けるようになったこともありますが、
きっかけは、
畑を始めたこと、そしてご近所のりんご農家さんのお手伝いです。
畑や農家の手伝いをきっかけに、
地元の人たちとのふれあいの中で得たことが大きかったと
私は感じています。

前編として今回は畑のお話をつづります。
りんごのお話は後編で。



〜畑をはじめた日〜

家のすぐ裏手にある土地は、ご近所に住む地主さんからお借りしています。
移住してほどなくして、縁あって地主さんの方からお声かけ頂き、
担い手も無く休耕地になっていることもあって、
有り難いことに無料で貸して頂けることになりました。

せっかく借りた土地ですが、
素人が家庭菜園するにはあまりに広過ぎて、昨年は草刈りするだけで精一杯。
生活面でもまだ畑づくりを楽しむ余裕はありませんでした。

そんな状態に、ふとしたきっかけが訪れます。

4月下旬、私に地元の仕事のオファーが次々舞い込み
明るい兆しが見え始めたちょうどそんな頃、
地主さんから、手作りの炊き込みご飯や漬物と一緒に
「畑に植えてごらん」と、ジャガイモとネギを頂きました。

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いつか畑をやりたいと言っていた妻は、
これがきっかけで、背中を押されたようにひとりシャベルを持ち出し、
雑草が広がる土地の一部を慣れない手つきで掘り始めました。

その日私は仕事の打ち合わせで出掛けてしまったので
私が居ない間の出来事です。
......

妻が掘り始めてしばらくすると、
軽トラで通りかかったご近所のHさんが
車を止めて声をかけてくれました。

Hさん「一体なにやってるだ?」
妻  「畑やろうと思って、掘ってるんです。(笑)」
Hさん「そりゃあ大変だ(笑)」
   「がんばりや〜」

そしてまたしばらくすると、
ご近所のNさんが軽トラで通りかかりました。
今度は車から降りて、近くまで様子を伺いに来てくれます。

Nさん「シャベルで掘るんじゃ大変でしょう。」
   「今度トラクターで掘り返してあげますよ。」

きっと、あまりに頼りなく不慣れな手つきで
見てられなかったんでしょうね。

私が帰ってきたのはちょうどその頃です。
車で畑の近くに差し掛かると、
土地の真ん中にポツリ、妻とNさんがなにやら笑顔で話しています。

私  車を停めて妻に
  「なんだなんだ? どうーしたの?」


Nさん「なんか大変そうだったんで(笑)」
私が帰ってきて安心したNさんは軽トラで去っていきました。

みんなが妻を心配して声をかけてくれたと聞いて
本当に嬉しくて、ありがたくて。

笑顔で話す妻の表情も、もとても明るくて嬉しそうです。
足元には苦労して掘ったであろう溝がやっと2mほどできています。
シャベルを借りて掘ってみると、石やら根やらにガチガチ当たり、
これはなかなか難儀です。
溝のかたちは不出来でも、よくやったもんだと。

そんな事を思っていると...

今度は畑仕事を終えたご近所のM子さんが現れました。

M子さん「何やってるだ?」


妻  「あ、いやぁ、ネギを頂いたんで植えようかと〜。」
M子さん「まぁ〜まぁ〜そうかい」
ネギを見せると、
ニコニコしながら素手で土をかき分けてさっさと植え始めます。
M子さん「ネギはこうしてな、土を寄せてな、」

慌てて後を追う妻。
突然の畑の先生の登場に、遅れまい聞き逃すまいと妻も一生懸命です。

妻   「何にも分かってなくて、不出来で恥ずかしい...。」
M子さん「いぁあ、上手によくやったもんだよ〜。」
ニコニコと優しい言葉をかけてくれます。


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そんな光景を眺めながら私は嬉しさがじんとこみ上げました。

移住して最初の一年間、
妻も一緒に地域の行事に参加して苦労した分、
こうしてちゃんと地域のみなさんに認めてもらえている。
私が居なくても、みんなが妻を心配してくれて、声をかけて、手伝ってくれる。

良かったね〜。
そんな気持ちで二人を見ているうち、あっという間にネギの植え付けは完了です。


M子さん「ネギは草を嫌うからね、」
    「周りの草はこうして念入りに取って。」

教わりながら私も加わって、ネギの周りの草をむしり、
この日、広い土地になんともちっぽけで頼りない畑が完成しました。


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その後も、畑を始めたばかりでおぼつかない私たちに、
M子さんが知らぬ間に畑に手を入れてくれたり、
ジャガイモの植え付けを手伝ってくれたり、


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Nさんはトラクターを持ってきて周りを一気に耕してくれました。


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こうして、妻の存在を認め、気遣ってくれる地域の皆さんの存在は、
ただ一人で悩んで塞ぎ込んでいた妻に少なからず力をくれました。
畑をやること自体が与えてくれる喜びよりも、
畑をはじめたことがきっかけで体験した地元のみなさんとの出来事が
何より暖かく
妻の心を癒やしてくれたのです。

......

畑は、その後どうなったかというと...

猛烈に迫り来る雑草の勢いに負け、
いつのまにやら寄ってくる虫たちにあっという間に葉を食い尽くされ、
どこに畑があるのやら、分からなくなりそうな、
そんな頼りない有様です。

でも、それはいいんです。
畑の出来は関係ありません。
全くの素人ですし、まわりの農家さんのようにはいきません。

きっと、「あぁ〜あ、こんなにしちまって〜」と
地元のみなさんに笑って見守られているくらいが
ちょうどいいんだと思います。


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写真は6月30日 2階の窓から裏の畑を写したものです。

力強く迫ってくる自然の力に押し負けそうになりながら、
頼りなくても、自ら小さな場所をつくって畑をはじめた妻の姿が、
厳しくて、濃くて、暖かいこの土地で
ホームシックに悩みながらも少しづつ歩もうとしている姿と重なって見えました。


.........

前編はここまで。

後編はりんご農家でのお手伝いのお話です。

お楽しみに!

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えふで

えふで

長野県佐久市

東京杉並に長く暮らしていましたが、山の見える自然豊かな土地での暮らしを求めて2016年3月に50才で信州佐久の里山へ移住しました。 目下、絵本作家を目指すグラフィックデザイナーとして田舎暮らしに奮闘中。 家族は妻と愛犬バティー。築35年の空き家を改装した家で草木と田畑に囲まれて暮らしています。 田舎暮らしを検討中の皆さまのお役に立てるよう、移住先探しから移住後の暮らしまで、絵と写真とデザインを駆使して情報発信していきます。 ブロガー名の「えふで」の「え」は絵・縁、「ふ」はフォト(写真)・ふるさと・ふれあい、「で」はデザイン・出会いの意味を込めました。どうぞよろしくお願いします。

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