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日本式建築にも合う?銘木人気NO.1の木、ウォルナット

"四代目"材木女子の TOUCH WOOD!Vol.10

一番人気の一枚板の樹種は?と問われたら、銘木業界では大多数の人が「ウォルナット」と答えるのではなかろうか。この黒っぽくて国産材とはまるで違う木柄の木材は、スタイリッシュにも和風にもナチュラルにも何でも合う。実際、日本建築や古民家風建物、和風店舗に家具や内装用としてかっこ良く使われている事例もたくさんある。ウォルナットはアメリカ固有の樹種である。今回私はアメリカに行って、一般的にウォルナットとして認知されている「ブラックウォルナット」と、人間によって接ぎ木されて出来た幻の高級木「クラロウォルナット」の二種類の原木を仕入れた。

最大直径2メートルの原木.jpg

日本を一万キロ離れ、アメリカへ初上陸。クラロウォルナットは、ウォルナットとは明らかに違う濃い縞がでたり玉杢がでたり、とにかく木目に表情があって、銘木好きにはたまらない逸品として、知る人ぞ知るレア樹種だ。ただ、その生息エリアは極めて限定的である。原木を求めて国内便を乗り継いだあと、さらに車で同じような景色の中を走ること数時間。ようやくたどり着いたのは、日本とはまるでスケールの違う「壮大な田舎」の原木置き場だった。

360度この景色(ひたすら森へ).jpg

そこは周り一面が森、もしくは果樹園で、鶏が自由に歩き回り、ちょっと大きなサイズの人たちが大きな車に乗ってゆったり生活している。絵に描いたようなカントリー風景でなんだか癒された。テンガロンハットとサングラスを掛けた原木のオーナーは、例に漏れずサイズも声も大きくて、こっちは原木を真剣に見ているのに、横から「お前の名前が聞き取れないからこのコンテナに書け」とチョークを渡してくれたり、その辺の鶏が今日だか昨日だか産んだらしい生卵をプレゼントしてくれたり(飛行機移動のため受け取れず)、ウェルカムな気持ちは有難いほど感じるのだが、おしゃべりばっかりで一向に仕事をしようとしないのが面白い。

クラロウォルナットアンティークテーブル.jpg

日本ではわざわざ外国からの訪問者となれば、商品と価格を揃えて待ち構え、その場で商売を始めようと考えるものだが、家族含む数人のスタッフもアメリカ式なのかアメリカの田舎式なのか、聞いても値段も分からないし、原木の単価基準となる重さも分からない。ここでは日本式のスピード感と即決感で仕事をするよりも、仲良くなるのが先決なのだろう。クラロのどでかいデザイナーズテーブルがある家を案内してくれる彼らと話をしていると、そりゃまだ顔も見ていない渡米前のやり取りがイマイチかみ合わない訳だ、なんて妙に納得した。とはいえ、大らかで人の良いパートナー達と質の良い原木にたくさん出会えて、嬉しさで大満足の訪問だった。

製材風景.jpg

帰国後、日本で写真を振り返りながら感謝感激の気持ちでやり取りを続けていたのだが、テンガロンのオーナーは相変わらず憎めないところがあって、重さを量る秤がないとか、走っている車のサイドミラーにぶつかったとか、奥さんが交通事故にあったとか、不運なエピソードは、すべて本当なら天中殺じゃないのか?と思うほど。さらに息子の結婚式が近いとか、スタッフが出産したとか、もう忘れたが、出てくる話は怒涛のイベント三昧。思うようにコミュニケーションが取れず困ったが、そんな出来事も含めて初アメリカの仕事を楽しめた。その後、原木を何とかゲット。製材を経て素晴らしい玉杢や縞杢の出る貴重な一枚板になり、さらにお客様の手に渡ったのを見たときは、それはそれは感慨もひとしおだった。

プロフィール

プロフresize.jpg吉田香央里(よしだかおり)
古材倉庫 ヤマガタヤ産業株式会社 取締役
1984年岐阜県出身。建材メーカー勤務後、父の材木屋にUターン就職。木に魅せられ、世界中に「木の美しさを伝えたい」と活動中、地方で働くジモト女性「ジモ女」としてNHKに取上げられる。お酒と野球が好きなおっとり系旦那と動物マニアの息子に恵まれ、大好きな木に毎日触れる田舎暮らしを満喫中。

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