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「ヒノキの大豪邸」にはヒノキがちょこっとだけ!?韓国デザイナーズ高級住宅事情。

"四代目"材木女子の TOUCH WOOD!Vol.5

私は韓国が好きだ。政治的なことはよく分からないが、実際に出会う韓国人は熱量が高くて感情的で面白い人ばかりだからだ。日本人よりもアニメに詳しかったり、ヒノキのおがくずに顔を埋めて絵に描けそうな程幸せな表情をしたり、回転寿司の皿を積めないほど食べたり、コロコロと表情の変わる、良い意味でエモーショナルな人種だと思う。

「韓国にヒノキを提案する」ための出張で来たこの地は、ソウル中心部とは少し離れるが、新都市ともいうべき金融街でいわゆる富裕層の住宅街。百坪×五十区画はありそうな広い土地に、外観総タイル張りの地上三階地下一階の四階層屋上付き、壮観のデザイナーズ住宅たち。特段大家族が住んでいるわけではないそうなので、家族構成からはどう考えても部屋が余るだろうに地下室を作るのはステイタスなのだそうだ。二十坪ほどの地下室を映画館のようなホームシアターにでもするのかと想像しながら使い道を聞くと、「サッカーをする」とか「パンを焼く」とか、いまいちピンとこない答えしかない。サッカーをするには狭いしパンを焼くにはスペースが余り過ぎるだろうに、そこはきっと庶民には理解できない暮らし方があるのだろう。

韓国高級住宅1.jpg

その横の工事中の現場では、二階の大きな窓から金属の梯子が道路のトラックの上へのびていて、何やら大きな荷物が梯子に沿って自動で斜めに昇降する不思議な光景を目にした。これは二階へ建材を運ぶ機械だそうだ。これは、なんと便利なことか。なぜ日本にはないのだろう。これがあれば建材屋の社員が「一番嫌な仕事はボードの二階上げ」などと言わなくても良いではないか。日本なら建材を軽くコンパクトにする工夫をするが、韓国は重いなら荷台から自動で上へ運べるようにするという工夫の違いが面白い。余談だが、日本も韓国も「おかず」の品数が多い食文化であるが、日本は一つの皿にたくさん盛付けて片付けの合理化をするところが、韓国では皿数そのままに、食後に皿を一つずつ下げなくてよいようにテーブルの天板ごと引いて厨房へ持っていくレストランがあって仰天した。こういう発想をする韓国がやっぱり好きだ。

建材を2階上げする電動式機械.JPG

さて、ここに「ヒノキの家」があると聞いたが、一向にヒノキっぽい家は出てこないなぁと思っていたら、あるデザイナーズ現場で韓国人現場監督が「ここはヒノキの家だから、ヒノキの柱を使ってますよ。触ってみてください。」と数十センチほど壁からむき出しになった化粧柱部分を指さして言った。それはヒノキの無垢ではなく集成柱。化粧柱なのに養生されていないそのヒノキ部分は、いろんな人が既に触っているのだろう、指跡で黒っぽくなっていた。「韓国のヒノキの家」はてっきり日本の伝統構法や古民家のような感じを想像していたのに、普通の外観タイル張りでちょろっと内部にヒノキ集成が見えている家だった。そのギャップに驚いたが、韓国では日本みたいに潤沢にヒノキがないのと、そもそも木造在来工法が韓国内では最高級工法であることを思い出すと、この「ヒノキの家」への自信もなるほどと頷けた。

ヒノキ集成柱.jpg

韓国人によると、ヒノキは「見目麗しい」「芳香が素晴らしい」「リラックスできる」「集中力が高まる」「頭が良くなる」「空気清浄効果がある」「抗菌」「健康に良い」と、いつかのタイガーバームのように何にでも効く万能な木材なのだそう。あながち間違ってはいないが、何のデザインもないヒノキ机を「集中力机」と売ってしまっているあたり、効果が些か過大評価されているような感じが否めなかったが、韓国人はそれほどヒノキについて愛着を持っているのだ。ともかく私も大好きなヒノキは、ストレス社会や学歴社会にお疲れの韓国人が胡散臭いほど褒めてくれる、日本が世界に誇る素晴らしい木材であることに間違いない。

プロフィール

プロフresize.jpg吉田香央里(よしだかおり)
古材倉庫 ヤマガタヤ産業株式会社 取締役
1984年岐阜県出身。建材メーカー勤務後、父の材木屋にUターン就職。木に魅せられ、世界中に「木の美しさを伝えたい」と活動中、地方で働くジモト女性「ジモ女」としてNHKに取上げられる。お酒と野球が好きなおっとり系旦那と動物マニアの息子に恵まれ、大好きな木に毎日触れる田舎暮らしを満喫中。

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