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祭りを通じて地域の人々の思いを感じる。【富山×岐阜】

こんにちは。田舎の暮らし方編集部です。

富山県と岐阜県。隣り合う県同士なのに、富山県は北陸、岐阜県は中部に区分され、移住イベントなども分かれて行われることが多かった2県ですが、岐阜県の飛騨高山で暮らす人からすると、ちょっと大きな買い物をしたいときに足を運ぶのは富山市。逆に、富山で暮らす人の身近な観光スポットは飛騨高山。県をまたいでも、実生活では密接につながっているわかりやすい例です。

古くから、富山湾で獲れた寒ブリは塩漬けにして飛騨高山へ運ばれていました。富山と飛騨を結ぶ国道が「ブリ街道(出世街道)」と呼ばれているのはこのためです。一方、飛騨の山で取れた木材は建築資材として富山へ運ばれました。このように、地理的な距離だけではなく、人々の交流も昔からさかんだったことがわかります。

そして2016年。両県合わせて6つの祭りがユネスコ無形文化遺産に登録されました。今回はその6つの祭りのうちの3つに焦点を当て、人々の生活と祭りの密接なつながりをご紹介したいと思います。観光の目的としてはもちろん、その地域に住む方々の祭りへの思いにも注目してみてください。


古川祭(岐阜県飛騨市)

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毎年4月19日・20日に、気多若宮神社の例祭として盛大に執り行われる古川祭。飛騨の職人の技が盛り込まれた屋台や子供歌舞伎、からくり、御神輿行列が繰り広げられますが、なんといっても見所は【起し太鼓】。大太鼓を打つ【太鼓打ち】に選ばれるのは、一生に一度あるかないかのとても名誉なことなのです。深夜まで町のあちこちで繰り広げられる大太鼓と付け太鼓の競り合いの迫力はすさまじく、「見学の際はケガに注意して、自己責任で」と言われるほど。この日のために一般の民家にも保険がかけられるそうです。

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また、起し太鼓が「動」なら、豪華絢爛な屋台行列は「静」。9台の屋台が並ぶ様子は圧巻です。

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4月中旬という時期ですが、県外に出て行った方の多くも、都合をつけて祭りのために戻ってくるようです。小さい頃から激しいぶつかり合いをみて憧れを感じているので、大人になってからは「やっと自分の番」という思いが芽生えるのでしょうね。

周辺のオススメスポット
白壁の土蔵やお寺の石垣が続く古い町並が古川の最大の魅力。「古い」といっても建物全てが古いわけではなく、新しく家を建てるときも昔ながらの技術で建てるため、景観が損なわれず美しい町並を維持しています。祭りの屋台が納められている巨大な蔵もその景観の一部。昔は税金の代わりに宮大工としての職人を朝廷に送り出していたそうで、その技術はしっかりと受け継がれています。この町並の美しさは海外にも広まっているようで、ウェディングフォトの撮影をしている外国人の方にも出会いました。立て札の説明を見ると「周囲との不調和を嫌う住民自らの意志により、(中略)統一感があり懐かしさを思い起こさせる美しい町並み景観を形成しています。」とありました。匠の技はもちろん、周囲との不調和を嫌った【住民の意思】そのものが、この町並みをつくる大きな要素なのです。

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飛騨古川まつり会館
この会館では古川祭で使用する本物の屋台を3台交代で常設展示しています。ここで展示されていないものは蔵の中に保管されています。祭り当日ではなかなかみることのできない屋台上部の構造や細部の彫刻などをじっくりみることができますし、からくり人形の操作を体験することで、飛騨の匠の技を実感することができます(この操作性、本当にすごいです!)。また、3Dメガネを使ったバーチャル映像では、観光客が決してみることのできない「屋台の上から見下ろす景色」を体感することができます。

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高山祭(岐阜県高山市)

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日枝神社の例祭として4月14日・15日に執り行われる春の高山祭と、櫻山八幡宮の例祭として10月9日・10日に執り行われる秋の高山祭、この両方を称して「高山祭」と呼びます。春には12台、秋には11台もの豪華な屋台が曳き揃えられるほか、からくり奉納などからも飛騨の匠の技のすばらしさを感じることができます。夜には屋台が提燈をまとい、昼間とは違う顔を見せてくれるのもたまりません。

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周辺のオススメスポット
日本3大朝市の1つに数えられる宮川の朝市。川沿いに所狭しと並ぶお店では、外国人を相手に英語で商売をする地元のお母さん達の姿が見られます。古き日本の良さを感じてくれる外国人と、それを受け入れる地元の方々という光景は、新たな地方のスタイルかもしれません。木彫りのフォークをみる外国人に「Dishwasher, OK !」と声をかけるお店のお母さん。漬物を試食する外国人。3コで200円のたこ焼きや(←料金設定が絶妙)、気軽に休めるテーブルとイス。買い物をしなくても歩くだけで楽しくなる朝市です。

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高山祭屋台会館
古川祭の項でも説明した通り、この飛騨からは税金の変わりに職人を朝廷に送り出していました。その数は年間で100人~150人。期間は600年と言われていますから、延べ7~8万人の職人が都で働いたことになります。そうして築かれてきた技術の伝承と、町内ごとに豪華さと粋を競い合って造られてきた屋台。この会館では、秋の高山祭りで使われる11台の屋台のうち、4台が展示されています。

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城端曳山祭(富山県南砺市)

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毎年5月4日・5日に執り行われる城端神明宮の祭礼。「越中の小京都」と呼ばれる城端の春を鮮やかに彩る祭りです。豪華な曳山もさることながら、一番の特徴は「庵唄(いおりうた)」。京都祇園の一力茶屋などを模した精巧な「庵屋台」の中から聞こえる笛・三味線の音色は、町内ごとに違う曲が奏でられています。これを、自宅の座敷に居ながら聞くことができるというのもこの地域独特の文化。通りに面した家の戸を外し、目の前で演奏を聞いていると、まるで料亭で遊んでいるかのような気分に浸ることができます。また、6基の曳山の上に乗る御神像は、祭りの前日にはその年の6軒の山宿に飾られそれぞれ一夜を過ごします。御神像を置くために畳を張り変え、戸を外して一般の方にも公開する。庵唄を聞く座敷として、御神像を置く場所として、家のつくりが祭りに合わせられているなんて都心では信じられないですね。

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周辺のオススメスポット
曳山会館のすぐ裏手には、大きな蔵が並んでいる通りがあります。この通りを庵屋台や曳山が通る姿を想像するだけで鳥肌が立つようなフォトジェニックスポット。地面には曳山の車輪の跡が残っています。

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その他の曳山が通る道を歩いて見るのも面白いです。こんなに狭い家と家の間を、あの大きな屋台の屋根を折りたたんで器用に進むのです。

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城端曳山会館
展示されている数々の資料の中でも、絶対に見て欲しいのが庵屋台の展示です。細かい部分まで再現された京都祇園の一力茶屋や江戸吉原の料亭を模した屋台。これが動く、しかも中から庵唄の生演奏が流れる。歴史と伝統の「粋」が凝縮された屋台です。

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祭りがあればそこに参加する人が必ずいて、人がいれば必ず日々の営みがあります。日々の営みには基盤となる歴史や文化・伝統があり、祭りはそれらを映し出す鏡だと思います。ぜひお祭り当日だけではなく、その地域の日常にも目を向けてみてください。きっと新しい発見があるはずで、祭りの楽しみ方も変わってくると思いますよ。そこから得られる共感があれば、自然と移住先の候補になってくるはずです。

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