緊急、座談会!〜きょなん町の地域おこし協力隊が語る「移住」と「起業」

千葉県鋸南町では現在、4人の地域おこし協力隊が活動しています。そのうち、採用されて1年が経過したのが、花澤華衣さん、黒澤徹さん、伊藤哲生さんの3人です。移住促進担当の花澤さん、有害獣担当の黒澤さん、伊藤さんに、都会を離れて田舎で生活すること、地域おこし協力隊の仕事について思うことなどを語っていただきました。

「成功」と「失敗」の基準とは何か?

----地域おこし協力隊の制度がスタートしてから、約10年が経過しました。地域おこし協力隊とは都心部の人が田舎で起業をしたり、定住し、地域を盛り上げることを目的に作られた総務省の制度ですが、当初の目的を達成できていない現状があります。このあたり、協力隊として1年が経過したみなさんはどう考えていますか?

伊藤 成功か失敗かは、その人の価値基準によると思う。採算あっていなければ、国の制度としては失敗ということになるのだろうけれど、実際、生産性のある活動ができている協力隊は、全国に何人いるのか? と思う。

花澤 私は、これだけ長く続いている制度であれば、トータルで考え、うまくいっていると思う。利用する側からすると、仕事も家もあるのでとてもありがたい制度。この制度がなかったら、鋸南町には来れなかったと思う。ただ、町の人があまり地域おこし協力隊を知らない、というのは感じています。

黒澤 私個人としては、この制度を利用して仕事をしているので、なんとも言えない。地域おこし協力隊が必ずしもうまくいっているわけではないという、ネガティブな部分はわかっているつもり。自治体や地域によって考えや事情も違うので、何が悪いのかということを一概には言えない。制度としては、まだまだではないかと思う。

伊藤 起業させるのが総務省の目的かもしれないけれど、本当に起業ができる人は、この制度なくても起業すると思うんですよね。

黒澤 オフィスを作ったからといって、それが起業かというとそうではないからね。東京にいなくてもできる仕事なら、サテライトオフィスなどでできるだろうけど。

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----なぜ、鋸南町の地域おこし協力隊に応募したのですか?

伊藤 東京から近いので、何かあったときに東京に戻れるというのが精神的にラクですね。

花澤 そうですね。気候が温暖な場所ということで鋸南町に応募したんですが、確かに失敗したり、何かあったら、いつでも東京に帰れるという距離は良いですね。私は10月いっぱいで協力隊をやめて、千葉市に引っ越すのですが、またいつか鋸南町に戻ってきたいなとも思っています。

黒澤 私はちょっと違いますね。都心部から遠い場所がいいかなぁと最初思っていたんですが、任期が終わったあと、東京の人を対象にした起業を考えたとき、やはり東京から近い場所がいいなと思うようになり、鋸南町を選びました。

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必要なのは「コミュニティ力」

----地域おこし協力隊には、どんな人が向いていると思いますか。

黒澤 鋸南町の協力隊の特徴として、年齢の高い人が採用されているというのがある。どちらかというと、社会人経験がある方がいいのではないかと思う。社会人を長くしていると仕事でよく分からないことが起きたとき、自分で対処できるが、新卒で、仕事について右も左も分からない人が協力隊になると、戸惑うことが多いと思う。

花澤 役場の人に聞いたんですが、採用のとき、「この人は地域に溶け込めるかどうか」を見ていると言っていた。

伊藤 溶け込めるかどうかは重要だと思う。協力隊は任期がたったの3年しかないから、半年で地域に溶け込めるくらいの人じゃないと難しいでしょう。どんなに優秀な人材でも、その地域にとって「異物」みたいな人はずっと異物のまま終わると思う。

花澤 「コミュニティ力」がある人がいいと思う。あと、コミュニケーション能力がない人もつらくなるんじゃないのかな。

黒澤 う〜ん。「地域とうまくやっていく人」「コミュニケーション能力の高い人」という意見に異論はないんだけど、本来、制度としては、「出るクイを受け入れる」というのが地域おこし協力隊の一つの側面でもあると思う。違う価値観を、その地域に持ってきてくれる人というのも協力隊の一つの役割でもある、と思うんだけどね。

伊藤 あと、起業をしたいのであれば、「計画を建てられる人」がいいでしょうね。

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スキルがあると有利になる

----何らかのスキルを持っている人だと、地域でそのスキルを生かしやすいと感じるのですが、どう思いますか?

伊藤 自分がなぜ協力隊として採用されたかは分からないのですが、私は会社員をしながら趣味で狩猟をやっていたので、即戦力として見られたのだと思う。

花澤 私はTシャツで面接を受けましたが、採用されました。ヨガのインストラクターの資格を持っているので、将来、ヨガの先生として地域で活躍できるだろうと見られたみたいです。

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----移住者として、この1年間、心がけたことはありますか?

伊藤 私は、自分からすすんで猟師さんのところに行って、教えてもらっていました。もちろん、猟師なら誰でもいいわけではない。鋸南には、高い技術を持っている人がいるので、そういう猟師さんにいろいろ教えてもらいました。

黒澤 こちらに移住してきてわかったのは、地域に溶け込めている移住者もいれば、溶け込めていない移住者もいるということ。移住者同士で集まってばかりいて、壁を作るのもどうかと思う。

伊藤 そもそも移住者って、何だろうと考えるときがある。狩猟をやっていると、この地域の移住者って人間だろうって思う。イノシシやシカが住んでいるところに、人間が入ってきているわけで。

花澤 なぜ、東京から田舎に来ると「移住者」って言われるんだろうって思う。例えば、埼玉から東京に行くと「引っ越し」と言われるのに、東京から千葉に引っ越すと「移住」って言われてしまう...。

黒澤 何年いたら、その地域の人とみなされるのかなぁと思う。地域によっては、何代もそこで生きていないと、その土地の人とみなされないところもあるからね。

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「お一人様力」も求められる

----これから、地域おこし協力隊になりたいと思っている人に一言お願いします。

黒澤 チャレンジ精神あふれる人にはいい制度だと思う。周囲の協力隊、もしくは仲間同士で愚痴でもいい、気持ちを共有できる人を見つけるのは大切。私も、それで救われた。何をやるかは、その人が考えることで、自ずと道が開かれる。

伊藤 決断力のある人には、地域おこし協力隊はよい制度ですね。まずは、「来る」という決断が必要。次に「何をするか」という決断が必要です。あと、さきほどの話とは逆のことを言うようですが、ひとりでも大丈夫というタイプの人じゃないと苦労する。一人で移住してきたら、当然のことながら最初、知り合いがいない。「お一人様力」も必要かも。

花澤 そういえば、私もひとりでも、大丈夫だな。自分の居場所を自分で作れて、人間関係も自分で作っていける人にとっては、よい制度だと思う。あと、活動の結果が見えるのは、年スパンだと思う。私は一年間ブログを書いてきましたが、先日初めて、「花澤さんのブログを読んで、鋸南町に興味持ちました」とメッセージをくれた人がいた。

黒澤 そういう情報の発信ができる人って、地域おこしでは必要だと思う。その地域で頑張っている人を見て、「この人の生き方っていい。この生き方、自分もしてみたい」と思ってもらえる生活をするのは必要だと思う。

伊藤 インフルエンサーって、やつですかね。影響を与える人。

黒澤 自分の居場所を自分で見つけていける人が、求められているんだと思う。

(敬称略)

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きょなん町地域おこし協力隊シミズ

きょなん町地域おこし協力隊シミズ

千葉県南房総地域

東京生まれ、東京育ち。気候のよい地方の生活にあこがれ、2018年9月から、千葉県の鋸南町(きょなんまち)に移住。東京・目白にある女子大を卒業後、「たくさんの人と出会いたい!」という好奇心から、10年間、新聞社、雑誌社で記者の仕事を経験。忙しすぎる生活に疑問を感じ、一般社団法人に転職するも、2016年、経営難のため退職。「人生何があるか分からない」ことを思い知り、大学の短期カリキュラムに入学。生き方を模索する。ローカルライフに興味を持つ中で、地域おこし協力隊という制度があることを知り、鋸南町に応募、思わず採用される。アラフォー過ぎ。なぜか独身。さびしいはずもなく、人生を謳歌中♪ 都会の女性が単身で地方に移住し、体験したこと、日々考えることをつづっていきます。

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